“本当の防災”を学ぶ「人とペットの防災救急士養成講座」体験リポート②

前回は、「ペットを守るためには、まず飼い主が無事であること」という防災の大原則を確認しました。

災害時に冷静に行動するためには、正しい知識と日頃の備えが欠かせません。

体験リポート第2回となる今回は、私たちが暮らす地域にどんな災害が起こり得るのか、そして“想定外”にどう備えるべきかを、講習会の内容から深掘りしていきます。

災害の種類と地域特性

日本では、地震・津波・台風・豪雨・土砂災害・竜巻・山火事など、さまざまな自然災害が発生します。地域によって起こりやすい災害は異なりますが、「自分の住んでいる地域では起きないだろう」という思い込みは非常に危険です。特に地震は全国どこでも起こり得ます。また、内陸に住んでいても、旅行先や外出先で津波に遭う恐れもあります。

過去の経験や地域のイメージに頼るのではなく、“想定外が起こる前提”で備えることが重要です

講師の立岡伸章さんがそう注意を促すように、気候変動の影響で“これまで起きたことがない災害”が増えている今、自分の生活圏全体を考えて備える必要があります。

講習中の立岡さん。全国各地で開催する講習会を一人で回ります

「避難」とは何か

多くの人は「災害が起きたら避難所へ行くもの」と考えがちですが、立岡さんは本来の“避難”とは難を避けることであり、安全な場所にいる人は必ずしも避難所へ行く必要はないと強調します。 

そして意外なことに、防災のスペシャリストである立岡さん自身も、危険が迫らない限り避難所には行かないと断言します。その理由は、自宅で安全に生活を維持できるだけの備えを徹底しているからです。 

  • 自宅はハザードマップ上で安全な区域に位置している
  • 建物は耐震診断で倒壊の恐れがないと確認されている
  • 停電時も発電機と燃料を備蓄しており、数週間はエアコンや冷蔵庫などを使用できる
  • 約1ヶ月分の食料を常備している

こうした準備が整っているからこそ、あえて避難所に行く必要がないのです。 

この考えの背景には、避難所ではどうしても普段の生活水準を維持できないという現実があります。限られたスペースや物資、そしてプライバシーの確保が難しい環境で長期間過ごすことは、心身に大きな負担を与え、結果として災害関連死につながる可能性も否定できません。そのため、生活水準を極端に落とさずに過ごせる環境を確保しておくことは、生存率を高めるうえで極めて重要だといえます。 

さらに、犬や猫は環境の変化に非常に敏感です。慣れない場所での生活は大きなストレスとなり、体調を崩すリスクもあります。自宅が安全であれば、在宅避難の方がペットにとっても負担が少ないのです。 

また、「避難所にいないと物資がもらえない」と思われがちですが、在宅避難者にも物資は配布されます。必要に応じて取りに行くこともできますし、地域によっては配布体制が整備されています。 

結局のところ大切なのは、自分とペットが最も安全に過ごせる場所を選べるよう、複数の選択肢を持ち、そのための備えをしておくことです。これこそが、人とペット双方の生存率を高める確かな手段だといえます。 

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